香りを作る専門家を「調香師」と呼びます。
今では当たり前となった「調香師」という日本語、一体どこから来たのでしょうか?
海外では、香りを作る人をパヒューマー、コンパウンダーと呼び、もとはこれらをそのまま使っていたようです。
<パヒューマー>
香りの創作、調香をする人。
<コンパウンダー>
コンパウンドとは、「調合された香料」のことを差し、コンパウンダーとは、調香そのものというよりは、パフューマ―が作った処方どおりに香りを調合する人をいう。
日本では、調香研究者、調香技術者、調香家などと呼ばれていたそうですが、どこかかた苦しさを感じます。
しかし、香り制作デザイナー、香りのスペシャリスト、香り職人・・・これだとどこかふわっとしてしまう。
テレビ番組で決まった「調香師」
昔、あるテレビ番組でパヒューマーを紹介する際に、呼び名で迷ったようです。
パヒューマーは格好良くておしゃれですが、当時一般的に知られておらず、パッと聞いても視聴者は何のことか分かりません。
そこで、番組プロデューサーは考えました。
「調香の先生だから調香師でどうですか」
そのひとことから、「調香師」という呼び名が決まったそうです。
香りと音楽の表現はどこか似ていて、言葉で表現しづらい世界でもあります。
ピアノの音を正確に調律する職人を「調律師」と呼びます。
なので、香りを正確に調合し、香りの美しいハーモニーを作る職人を「調香師」と呼ぶのは素晴らしく的確。スッと頭に入ってきて、しかも短く覚えやすい。
パヒューマーにも勝るとも劣らない格好良い呼び名が、テレビ番組のプロデューサーのひらめきだったとは、驚きですね。
調香師は香具師と似ている?
ちなみに、そのプロデューサーは「調香師」は「香具師」と間違えられそうだと心配していたようです。
香具師(やし)とは、縁日や祭礼などで見世物を披露したり、露店を出店したりする人のこと。
江戸時代には香具師(こうぐし)と呼ばれ、曲芸で客寄せをして薬や香具を売った人のことを言います。薬師(やし)という薬売りにも由来しています。
また「香具師」は、2ちゃんねるでも一時期流行った言葉で、ヤツ(奴)を、見た目に似ている「ヤシ」と書いた人が誤変換して出てきた言葉なんだとか。
いつの時代も、日本の言葉遊びって面白いですね(笑)